訪日外国人旅行者の消費が急増
観光庁が発表した訪日外国人消費動向調査(1次速報)によると、2024年1~3月の四半期における旅行消費額(推計)は1兆7505億円に達し、2019年の同時期と比較して1.5倍に増加しました。その中で、飲食費が占める割合は21.7%を占めています。多くの訪日外国人旅行者が日本の食文化を目的に訪れています。
そんな中、SNSで注目を集めているのが、日本食YouTubeチャンネル「Momoka Japan」です。このチャンネルは、街中で外国人旅行者に声をかけ、日本食を試食してもらう内容で、2024年5月現在で登録者数は87万人を超えています。
撮影は「仕込みなし」「台本なし」「一発撮り」をモットーとし、外国人旅行者が日本食を楽しむリアルな反応やMomokaさんとのやりとりが人気を博しています。コメント欄には、「このチャンネルに出会えて本当に良かった」「ももかさんの『あらぁ~』が大好きです」といったコメントが寄せられ、多くのファンが支持しています。
本記事では、「外国人が日本のかき氷に驚く」という動画を取り上げます。この動画には、以前にも出演経験があるマリエルさんとディカイさんが登場しています。マリエルさんはニューヨーク出身で英語教師兼タレントとして活動しており、2019年に京都に移住し、2021年からは東京を拠点に活動しています。ディカイさんは南アフリカ出身で、北海道大学で2年間学び、その後東京に移り住んでいます。
札幌と京都での生活
Momokaさんが案内したのは「雪うさぎ」というかき氷店でした。マリエルさんは「アメリカにもかき氷はあるけれど、日本のかき氷は特別で、アメリカのスノーコーンはとてもシンプルなもの。日本のようなかき氷には馴染みがない」「アイスクリームの方が圧倒的に人気」と述べています。これに対し、Momokaさんは「日本の夏はとても暑いので、かき氷は欠かせない」と返答。さらに、Momokaさんがディカイさんに「南アフリカの夏も暑いのでは?」と尋ねると、ディカイさんは「日本ほどではない」と答えました。南アフリカの夏は暑いですが、日本ほど湿気がないので過ごしやすいそうです。札幌での2年間は極寒でしたが、現在は札幌が恋しいと話しています。「日本の夏は厳しいので、早くかき氷を食べたい」とディカイさんは語り、かき氷の存在を日本で初めて知ったことを明かしました。南アフリカではアイスキャンディーやアイスクリームは食べられますが、かき氷はないとのことです。
ディカイさんは札幌を懐かしみ、東京よりも札幌を好むようです。「日本で長く住むなら札幌に住みたい」と話しています。その理由は、快適な夏の気候だけではありません。「東京の人々はみんな忙しそうで、ゆっくり会話ができない。札幌の人々はリラックスしていて、たくさんの会話が楽しめる。札幌にいると心が落ち着く」と言います。また、札幌の雪に最初は驚いたものの、今では「すっかり雪の魅力にハマってしまった」と語り、札幌の環境が自分に合っていると感じているようです。
さらに、マリエルさんも日本への愛情を語っています。「日本が大好き。そうじゃなければ、ビザの申請などの大変な手続きを頑張れない。この国は素晴らしいから、もっと新しい発見をして、日本を体験したい。だからまだ帰れない」と話しています。ニューヨーク出身のマリエルさんですが、東京よりも京都を気に入っているそうです。最初に移住した京都を「第二の故郷」と呼びます。「小さい頃からニューヨークの街で育ったけど、大都会は少し疲れる。ニューヨークの都会的な雰囲気は好きだけど、住む場所ではない。東京に住んでいるのは、多くの機会があるから。京都が恋しいけれど、人生のために東京に来た」と、東京での生活の理由を説明してくれました。
ブームで多様化した進化系かき氷
話をしているうちに、お待ちかねのかき氷が到着しました。彼女たちが選んだのは、ストロベリーとマスカルポーネソースがかかった「苺フロマージュ」、そして「かぼちゃ」と「ずんだ」の3種類。ひとつに絞りきれなかったので、3つをシェアすることにしました。まずは「苺フロマージュ」を分け合います。マリエルさんは「おいしい!」と日本語で感嘆の声を上げ、「なんでこれがアメリカにないんだろう」と不思議がります。南アフリカにはかき氷がなかったというディカイさんは、「すごく美味しい!頭がキーンとするけど」と少しアイスクリーム頭痛に悩まされながらも、その味を楽しんでいました。
次は「かぼちゃ」のかき氷です。メニュー選びの際、ディカイさんはかぼちゃに対して消極的でした。かぼちゃのスイーツを食べたことがなかったからです。一方、マリエルさんは最初からかぼちゃに興味を持ち、小皿に分けながら「待ちきれずに食べてしまいそう」と楽しみにしている様子でした。ひと口食べたディカイさんは、「かぼちゃを見くびっていました。こんなに美味しいとは驚きです」と笑顔になりました。ディカイさんは「かぼちゃはおかずでしか食べたことがなく、寒い日に食べるものというイメージだった。これはまったく新しい体験です」と語り、マリエルさんは「そういえば、日本でもかぼちゃはおかずとして食べることが多いよね。アメリカではかぼちゃは絶対にデザート。日本に来てから別のかぼちゃの食べ方を知って驚いた」と述べていました。
そして最後に「ずんだ」が登場しました。マリエルさんはずんだスイーツが好きですが、ディカイさんにとってはこれも初めての体験です。「どんな味か想像できない」と言いながら口に運び、しばらく噛んでから「これがずんだか!」と驚きの声を上げました。
3種類のフレーバーのかき氷を食べ比べた結果、マリエルさんは「ずんだが一番」と答えました。ディカイさんは最初に「苺フロマージュ」を選んだものの、最終的には「やっぱりかぼちゃ!かぼちゃをこんなに好きになったのは初めて」と、かぼちゃを一番に挙げました。
少し溶け始めたかき氷を食べながら、マリエルさんが「札幌で雪を食べたことある?」と尋ねました。ディカイさんは「そんなことするわけない」と引き気味に答えました。マリエルさんは「アメリカでは、降ったばかりの雪がきれいかどうかを確認してから家に持ち帰り、シロップをかけて食べるの」と懐かしそうに話します。ディカイさんは雪を食べることはないものの、「札幌では飲み物を雪の中に少し埋めて冷やすんだ。パーティー中にのどが渇いたら雪の中から取り出すんだよ。冷蔵庫よりも冷たくなるんだ」と寒冷地ならではのエピソードを語りました。これはカナダに住んでいたことがあるMomokaさんも経験があるようです。「でも、アメリカ人は雪を食べるんだね」と驚くディカイさんに、マリエルさんは笑顔で答えました。
視聴者は二人のやり取りを見て、「この二人、最高のコンビですね!可愛くてエレガントで、そして美味しそうなかき氷!」「次回の再登場が楽しみです」「やっぱり女性が複数いると表情も柔らかくて、言葉のやり取りも豊富で楽しい」とコメントを寄せています。
夏の風物詩である「かき氷」は、豊富なフレーバーの展開や氷の質、ふわふわなソースにこだわる高級なスタイルが増え、今では一年中楽しめるようになりました。外国人観光客には、日本らしい抹茶味の宇治金時が人気ですが、屋台で定番のイチゴやメロンなどのシロップはあまり好まれないことが多いようです。しかし、ここ数年のかき氷ブームによる多様化で、現在のかき氷は訪日外国人観光客にもさらに受け入れられやすくなっているのではないでしょうか。