飲食業界の現状と展望
昨年2023年5月8日、新型コロナウイルス感染症が5類感染症に分類され、水際対策も終了しました。それ以降、入国制限が解除され、多くの外国人観光客が日本を訪れるようになりました。現在では、コロナ禍以前を上回るほどの観光客が訪れ、外国人観光客の話題が絶えません。
観光の一環として、日本の食文化は多くの外国人観光客にとって大きな魅力です。観光地を巡るだけでなく、日本料理を楽しむことも旅行の目的の一つとなっています。そのため、多くの飲食店が外国人観光客を引き付けるための努力をしており、特にSNSが集客の重要なツールとなっています。
注目を集めるYouTubeチャンネル「Momoka Japan」
最近、注目を浴びているのが、日本食に特化したYouTubeチャンネル「Momoka Japan」です。このチャンネルは、「日本食×外国人観光客」というコンセプトで、2017年に始まりました。2024年5月時点で登録者数は87万人を超え、大変人気のあるチャンネルとなっています。動画の内容は、外国人観光客や日本在住の外国人を招き、彼らをおすすめの飲食店に案内して日本食を楽しんでもらうというシンプルな形式です。また、「準備なし」「台本なし」「一発撮り」という撮影スタイルが特徴です。
「Momoka Japan」の魅力と人気の理由
英語が堪能なMomokaさんは、巧みな会話の引き出し方で視聴者を魅了しています。彼女は「日本を訪れた理由」や「好きな日本の食べ物」、「来日して印象的だったこと」など、外国人ゲストにインタビューし、その内容を楽しみにしている視聴者も多いです。視聴者からは「2年前から見ているが、最近のMomoka Japanは素晴らしい。店選びや会話の全てが良い」「高級料理ではないのに、ここまで感動してくれるのはMomokaさんの楽しい雰囲気のおかげ」などの声が寄せられています。Momokaさんの店選びのセンスやおもてなしの心、人柄がこのチャンネルの評価を高めている要因の一つです。
本記事では、「Momoka Japan」の中でも特に人気のある動画「初めての居酒屋で外国人テンション爆上がり」(再生回数122万回)を紹介します。
日本のビールが気に入ったベルギー出身のセブリックさん
この動画でMomokaさんがインタビューしたのは、チュニジア出身のルアンさん、ベルギー出身のセブリックさん、ギリシャ出身のイサヤさんの三人です。彼らは全員日本に来てまだ1週間ですが、これまでに食べた日本食はどれも美味しいと話しています。Momokaさんが案内したのは渋谷にある居酒屋です。
ビール好きなセブリックさんは、「日本のビールを試してみたい」とのこと。彼はベルギーの出身であり、ビールに対するこだわりが強いことで知られています。セブリックさんとイサヤさんはキリンビールを注文し、乾杯しました。「ヨーロッパのビールと違うけど、どう感じる?」とイサヤさんが尋ねると、セブリックさんは「ベルギーに輸入すべきだ!」と、日本のビールを高く評価しました。
日本の魅力とコンビニ食の驚き
Momokaさんは「日本の好きなところは?」と三人に尋ねました。イサヤさんは「高層ビルがとてもクール」と答え、ルアンさんは「人々が親切で礼儀正しい」と述べました。困っているときに助けてもらえる経験を二人ともしており、ルアンさんは空港での職員の親切さに感動したエピソードを話しました。「たとえ英語が話せなくても、一生懸命助けようとしてくれる」と彼女は言います。イサヤさんも同意し、「本当は私たちが日本語を話すべきなのに」とうなずきました。
また、日本で食べた美味しいものについて、イサヤさんはコンビニのフライドチキンを挙げました。セブリックさんはコンビニのてりやきサンドイッチが美味しかったと言い、ルアンさんも「春巻きの皮で巻いたチーズのやつが美味しかった」と続けました。いわゆる日本食ではありませんが、コンビニ食のクオリティの高さもまた、日本の食文化の一部と言えるでしょう。
ハイボール初体験の感想
イサヤさんがビールを美味しそうに飲んでいると、Momokaさんが「ハイボールを飲んだことある?」と尋ねました。イサヤさんはハイボールを知らなかったので、Momokaさんが「ウイスキーのソーダ割りで、日本では一般的な飲み方だよ」と説明しました。これを聞いたイサヤさんは「変わった飲み方だね!」と言いつつ興味を示し、次にイサヤさんとセブリックさんはハイボールを注文しました。飲んでみた二人は「これは飲みやすいね。飲みすぎちゃうかも。ハイボール、気に入ったかも」と高評価をしました。
天ぷらの美味しさに感動
三人はまずしめ鯖を楽しんだ後、次々と居酒屋メニューに挑戦しました。「日本に来たらエビマヨを食べるべき」「後で名前をメモしておかないと」と、しめ鯖に続いてエビマヨも大好評でした。次に出てきたのは、日本料理の代表格である天ぷらです。
セブリックさんは「天ぷら大好きになった」と言い、イサヤさんは「アナゴが最高」と喜びました。一方、ルアンさんは「おいしいけど、エビマヨが1位!」と、エビマヨへの感動が強かったようです。イサヤさんはさつまいもの天ぷらを食べて、この日一番の笑顔を見せました。ルアンさんはナスの天ぷらに驚き、三人でお互いに食べ比べながら楽しむ様子が印象的でした。
視聴者の反応
視聴者からは、「ギリシャ出身の彼女がさつまいもの天ぷらを食べた瞬間の表情が最高だ。『食べてみて、驚くよ!』って目が言っている」「天ぷらをこんなに幸せそうに食べるなんて」「イサヤさんはまるで太陽の女神みたいだ」「彼女の喜びと褒め方を見ていると、自分も嬉しくなる」といったコメントが寄せられました。
締めのチャーハンで感動のフィナーレ
最後に三人はカニとレタスのチャーハンを楽しみました。ルアンさんは「普段はあまりお米が好きではないけれど、このチャーハンなら美味しく食べられる」と言い、イサヤさんは「カニとレタスの組み合わせが不思議で美味しい」とコメントし、最後まで美味しそうに食べていました。イサヤさんは「50歳、70歳になってもこの思い出を子どもたちに伝えたい」と話し、ルアンさんも「自分の子どもにも日本に行ってほしい」と続けました。素晴らしい言葉で締めくくられました。
コロナ禍の影響を受けた居酒屋業界
長引くコロナ禍で最も打撃を受けたのは居酒屋業界でした。コロナ禍以前から若者のアルコール離れにより、居酒屋の利用が減少していましたが、パンデミックの影響で業績がさらに悪化しました。飲食業界全体ではアフターコロナの回復が見られるものの、居酒屋の回復は依然として遅れています。
東京商工リサーチの調査によると、2023年度(4月から翌年3月)における飲食業の倒産件数は930件で、前年度比57%増加しました。このうち新型コロナウイルス関連の倒産は529件で、全体の約6割を占めています。特に、居酒屋は宅配・持ち帰り、ラーメン店、焼肉店と並んで依然として厳しい状況にあります。
一方、インバウンド向けのコンテンツ制作やコンサルティングを行う「Tokyo Creative」が2023年に実施した調査によると、欧米豪やアジアなどの外国人1006人を対象に「日本旅行で訪れてみたい飲食店」を尋ねたところ、居酒屋はたこ焼きやたい焼きなどのストリートフードに次ぐ2位(74.9%)にランクインしました。
この結果には、地元の人々も訪れる居酒屋で地域ならではの味を楽しみながら交流できることや、豊富なメニューからさまざまな料理を楽しめることが理由として挙げられます。インバウンド需要の高まりが追い風となり、居酒屋業界に明るい兆しが見え始めています。