蒸し暑い夜、涼もうと外に出たとき空を見上げてみれば、煌々と光っているお月さまに気づき、立ち止まって見入ったことはありませんか?
そこで、ふと「十五夜お月さま」というように十五夜といえば満月のイメージがありますが、十五夜と満月は同じものを指しているのかと疑問に思いました。
ここでは、そんな十五夜と満月の違いを解説します。
意外と知らない!十五夜と満月の違いとは
そもそも、十五夜(じゅうごや)とは旧暦(陰暦)8月の15番目にあたる夜月のことで、中秋の名月とも呼ばれます。旧暦の場合、約15日かけて満月を迎え、また、約15日かけて新月となるまでを1ヶ月とするため、毎月15日の夜は、ほぼ満月が見られます。しかし、現代では、月の動きを基準とした旧暦ではなく、太陽の動きを基準とした新暦(陽暦)を使用しているため、十五夜に当たる日にちは、毎年変動しています。
その理由は、1年が約365日である新暦では、地球の公転軌道とのズレを修正するために、4年に1度、閏日を追加する閏年を設けているからです。
これに対し、旧暦は、月の満ち欠けを基準とした12ヶ月となっているため、1年が約354日になっています。このズレを修正するために、約3年に1度、13ヶ月日となる閏月を追加しているのです。十五夜を新暦に換算すると、毎年変動してしまうのはこのためです。
十五夜なのに満月じゃない?十五夜の定義とは
十五夜は、必ずしも満月とは限りません。
旧暦における月の15日目に見られる月の状態は、実は「ほぼ」満月ではあれど、完全なそれではありません。
というもの、完全な満月は、月の満ち欠け周期である約1ヶ月を29日、または30日とカウントするため、満月となるタイミングはキレイに月の15日目とはならず、微妙にズレてくるからです。
それでは、なぜ、中秋の名月が十五夜の別名として、使われるようになったのでしょうか?
旧暦の元旦である1月1日は、現在の暦ではちょうど立春の時期になります。このため、旧暦では1月からが春とされ、7月〜9月までが「秋」になります。つまり、秋の中日を意味する「中秋」の名月となり、8月15日の名月を意味しています。
ちなみに、よく混同される言葉に「仲秋の名月」があります。
- 中秋は、秋の中日(8月15日)
- 仲秋は、旧暦8月(仲秋)すべてを意味する
つまり、十五夜だけでなく、8月のすべての名月を意味しています。
お月見の風習って何?
それでは、名月を愛でる「お月見」について解説します。
お月見には、美しい月を眺めるだけでなく、収穫に感謝して、月に見立てたものや収穫物をお供えするという風習もあります。
お供えとは、お月見の日にお供えものを飾ったり、お皿に並べたりすることで、次の3つのお供えものの意味を、それぞれ見ていきましょう。
- ススキ
- 月見団子
- 農作物(芋類)
秋の七草の一つでもあるススキには、悪霊や災いなどから収穫物を守り、翌年の豊作を願う意味が込められています。
そして、鋭い切り口を持つススキは魔除けになるともされており、庭や水田に立てるなど、軒先に吊るす風習が今もあります。
月に見立てたお団子をお供えすることで、月に収穫の感謝を表します。
十五夜では15個、十三夜では13個を、ピラミッドのように積んでお供えします。
お月見は、豊作を祝う行事でもあります。
里芋、栗、枝豆など、収穫されたばかりの農作物をお供えし、収穫に感謝します。
日本には、古来より月を愛でる習慣自体はあったといわれています。しかし、十五夜を特別視してお月見するようになったのは、平安時代に伝わった中国の「中秋節」に由来します。
中国での中秋節は、春節に次いで大きな祝日。3000年とも言われる中秋節の歴史は、古代の月祭りまで遡るそうです。中秋節には家族や友人を招いて、月餅を食べながら月見をする風習があったのです。
宮中に伝わったお月見は、鎌倉時代を経て江戸時代になる頃には、農村の収穫祭と結びついて庶民に浸透し、豊かな実りの感謝を捧げ、お供え物とともにお月見をするようになったといわれています。このため、十五夜には「芋名月」という別名もあります。
十五夜のまとめ
今年、2022年の十五夜(中秋の名月)は、9月10日とされています。
十五夜は、日本の収穫祭と結びついて定着し、中国から伝わったお月見を取り入れ、平安貴族が月見の宴を催して、風雅を楽しむようになったといわれています。
十五夜が中国伝来の風習であるのに対して、十三夜は日本で始まった風習です。9月13日〜14日の夜、稲作の収穫を終える地域が多いことから、秋の収穫に感謝し、美しい月を愛でるのです。
十五夜と十三夜を合わせて、「二夜の月(ふたよのつき)」と呼びます。どちらも、お月見を楽しむことを大切にしています。
いかがでしたか?
今年は、少し余裕をもって夜の空に想いを馳せ、ゆっくりと満月を楽しんでみたいですね。
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